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ずいぶんと前の話になるが、友人と1ヶ月程インドを旅した。バックパッカーの貧乏旅だったが、その日々は今でも心に強く残っている。

外出自粛の続く中、ふとそのことを思い出し、押入れを漁った。


大量の現像済みフィルムが出てきて途方に暮れるが、1枚ずつスキャンしていく。

これは、と思うものもいくつかあったが、大半はありきたりで面白みにかけるものだった。


初めての異国の地で、もっとヒリつくような日々だったと記憶しているのだが、

客観視できるほどに年月が経ち、あらためて見た写真は、とても平穏なものだった。


どうにかあの時の感覚を再現できないか。

ライトボックスに並べたポジフィルムを見ながら、ふとフィルムを重ねてみてはどうかと思った。

無作為に選んだ2枚のフィルムをぴったりと重ねて、1枚の画像としてスキャンしていく。

そうすると予期せぬイメージが生まれてきた。


あの時感じた、熱と喧騒と砂埃と匂いが紫煙の中でグニャグニャになり、前後が折り重なっためまいのようなもの。

記憶は正しかったと、安心した。






















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