- KiNARI 編集部

- 24 時間前
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本誌27号(P40-43)にてインタビュー掲載されているGED WELLS〈insane〉とNICK PHILIP氏〈ANARCHIC ADJUSTMENT〉の両名によるセルフエディットで構成された「A.I BOOK」が〈NATAL DESIGN〉より発売することになった。彼らはUK初のBMX/スケートボード誌として知られる「R.A.D MAGAZINE」で共に働いていた間柄でもあり、長年の交流を経て再びタッグを組む形となった。35年以上の時を越え、昨年開催された GED 氏のブランド40周年記念展示でのコラボレーションを機に今回のアートブック制作がスタート。イギリス発のストリートカルチャーがどのように発展し、どのような系譜で現在へとつながってきたのか。両ブランドの歩みと現代のカルチャーへの流れが紐解ける貴重な一冊。
ISBN:978-4-9914359-0-4C
価格:¥12,000E(本体 12,000 円+税)
jan:1920070120002
タイトル:A.I BOOK
出版者名:株式会社 NATAL DESIGN
判型・ページ数:225×297mm・192 ページ
初版:2025.12 1000 部

【insane】
INSANEは、1984年に英国ワイト島でGed Wellsによってスタートしたアート主導のストリートブランドです。 考古学のイラストレーターとして働きながら、スケートカルチャーとDIY精神に触発されたGedは、自宅で手描きのTシャツや スニーカー、母親と共作した帽子、タイダイの“Jim Jam”パンツなどを制作。UKスケーターの間で話題となり、Zineやイン ディペンデントショップを通じて流通していきました。
1988年にロンドンへ拠点を移し、Slam City Skatesと提携。ブランドは本格的な展開を開始します。 独特のキャラクターアートとストーリー性を取り入れたコレクションは『ELLE』誌に掲載されるなど、ファッションや音楽のシ ーンへと拡がり、Deee-LiteやThe Shamen、ロビン・ウィリアムズまでもが愛用する存在へと成長しました。1990年には藤原ヒロシ氏の紹介により日本市場にも進出。Made in World社とのパートナーシップにより急成長を遂げ、 日本におけるUKストリートカルチャーの象徴的存在となります。 アートとファッションの融合を推進する中で、Gedはソフィア・プランテラ(後のSILUS 、Aries Arise)を起用。ヨーロッパのミリタリーやワークウェアの要素を取り入れたコレクション「Insane Casuals」は、実験精神と実用性を兼ね備えた新たなステージを切り拓きました。
90年代中盤には、ロンドン・カムデンに「Insane Skate Supplies」をオープン。 ギャラリー兼ショップとして、ペインティングや彫刻作品を発表し、UKアーティストとのコラボレーションも多数実現。 ブランドはスケート・音楽・ファッション・アートを横断するカルチャー・ハブとして機能しました。現在もINSANEは「彫刻された アイデンティティ」というコンセプトのもと、アート・アパレル・トイ・家具など多様な表現を展開。 2022年にはSILUS、2023-2024年にはuniform experimentとのコラボレーションなども発表している。またGed Wellsは自身のアート活動を通じて、ブランドの原点にあるユーモア・自由・自己表現を再構築し続けています。 2024年には東京原宿でブランド設立40周年のアニバーサリー展を開催しました。

【ANARCHIC ADJUSTMENT】
NICK PHILIP / ANARCHIC ADJUSTMENT ニック・フィリップは、1986年に先駆的なストリートウェアブランド「アナーキック・アジャストメント」を設立し、英国でBMXや スケートボードの革新的な雑誌「RAD(Read and Destroy)」を共同創刊することで、彼のクリエイティブな旅が始まりました。1989年、ニックはカリフォルニアに移住し、アンディ・ジェンキンスやスパイク・ジョーンズとともに「Freestylin'」や「Ho meboy」誌でコラボレーションし、カルチャーに大きな影響を与えました。 その後、彼はサンフランシスコのベイエリアに移り、初期のレイブシーンを彩るサイバーデリックな美学を定義する重要な存在となりました。
彼のグラフィックデザインはカウンターカルチャーのあらゆる分野に広がり、ティモシー・リアリー、テレンス・マッケナ、ジョン・ C・リリーといったサイケデリック界の著名人たちの作品を手掛けました。 また、テクノロジーとカルチャーの交差点を形成した「Wired」誌や「Mondo 2000」誌にも初期の貢献を果たしました。Adobe Photoshop Version 1を独学で学んだ後、彼の独自の超現実的なグラフィックアルケミーのスタイルは、1997年に批評家に高く評価されたCD-ROM「Radical Beauty」に結実しました。 彼の革新的な作品は、映画『ホワット・ドリームス・メイ・カム』のアカデミー賞受賞視覚効果チームの一員としても認められました。彼の創作の旅は東京にも及び、藤原ヒロシ、信國太志、伊藤穰一とコラボレーションを行いました。1998年には、東京工業大学アートミュージアムICCギャラリーで個展を開催。2002年、ニックは「Imaginary Foundation」を設立し、ストリートウェアを「トロイの木馬」として用い、ポップカルチャーに深い意識を注入するという創造的な実験を開始しました。このファウンデーションは「コズミック・シュールレアリスム」として知られる視覚的ムーブメントを広めたことで広く評価されました。2020にはANARCHIC ADJUSTMENTとしてPALACE SKATEBOARDとのコラボレーション、2024年にはNEIGHB ORHOODとのコラボレーションを発表しています。 2025年現在、ニックはアナーキック・アジャストメントをカウンターカルチャーのルーツに戻す”REBIERTH(再生)”をテーマに活動しています。



