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11 分前
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素材から完成品まで、職人技の未来をつなぐ場所


イタリア・ピエモンテ州ゲンメに、ロロ・ピアーナの新たな製造拠点「ロロ・ピアーナ・ゲンメ」が誕生した。糸から完成品まで、フルファッション・ニットウェアの生産サイクルを一か所に集約した、8,000平方メートルを超える新施設。研究開発から編み立て、縫製、仕上げ、洗浄、アイロンがけまで、ニットウェアが形になるまでの工程を包括している。1990年代以降では初となるロロ・ピアーナの新しい製造拠点であり、完成までに費やされた時間は約3年。ここではカシミヤ、ベビーカシミヤ、ビキューナ、メリノウール、ペコラ・ネラ®など、メゾンを代表する素材から生まれた糸が、最終的なニットウェアへと姿を変えていく。


ゲンメという場所が選ばれたことにも理由がある。この地域は長くテキスタイル産業と深く結びついてきた土地であり、ロロ・ピアーナにとっても歴史的に重要な場所だ。1987年に取得したこの敷地は、かつて製紙工場、そして100年以上にわたり綿紡績工場として使われていた。その後、ロロ・ピアーナの梳毛紡績工場「フィラトゥーラ・ペッティナータ・ゲンメ」となり、織物やニットウェアに使われる糸を生産してきた。今回、その歴史ある場所が再び生まれ変わった。歴史的な給水塔やかつての管理棟など、旧敷地の一部を残しながら、新たなニットウェアの拠点として再生されている。




建築を手がけたのは、2006年にフィレンツェで設立されたメトロオフィス・アルキテッティ。大きな窓や曲線を描くファサード、木を基調とした柔らかなラインなど、ロロ・ピアーナの繊維が持つ柔らかさや流動性を空間へと置き換えたようなデザインが特徴だ。自然光を取り込む大きなガラス面や中庭、庭園を設けることで、働く人が自然を感じながら過ごせる環境もつくられている。LEEDゴールド認証の要件に沿って設計され、雨水利用、太陽光パネル、高度なエネルギー管理システムなどを採用。ロロ・ピアーナの製造施設として初めて、化石燃料を使用しない設計も実現した。




そして、この場所でもうひとつ重要なのが「人」だ。隣接する旧管理棟を改修した建物には「アカデミア・デイ・メスティエリ」が設けられ、プログラミング、リンキング、手仕上げ、修繕など、ニットウェアに欠かせない技術を次世代へ伝えるための教育が行われる。ロロ・ピアーナでは2015年に設立されたアカデミア・デイ・メスティエリを通じて、独自の職人技を継承する取り組みを続けてきた。現在、守るべき職人技は59のメティエ(職種)に及ぶという。


新施設には教育エリアも設けられている。素材そのものに触れられる「Master of Fibres」、1800年代から現在までの歴史をたどる年表、そしてニットウェアの構造と職人技を紹介する展示など、訪れる人がロロ・ピアーナのものづくりを知るための空間が用意されている。さらに、2016年に創設された「ロロ・ピアーナ・ニット・デザイン賞」の過去の受賞作品も展示。世界各地のデザイン学校から集まった学生たちが、ロロ・ピアーナの糸を使って生み出した作品を通して、伝統だけではないニットウェアの可能性を見ることができる。ロロ・ピアーナ・ゲンメは、最新の設備を備えた生産拠点であると同時に、素材、技術、建築、そして人が交わる場所でもある。


約100年にわたって積み重ねてきた歴史を過去のものとして保存するのではなく、そこに新しい技術と次世代の職人を重ねていく。土地に根づいたものづくりを、未来へどうつないでいくのか。ゲンメに誕生した新しい拠点は、ロロ・ピアーナがこれからのニットウェアを考えるための、新たなスタート地点になりそうだ。



Wonderful just the way it is,

always cutting edge,

we are the “paper mic.”​​

(C) KAMIMIC Inc.
​kinarimagazine.com

KiNARI vol.30

特集「マイペース​」

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雑誌コード:19162-07 

項数:132ページ 

価格:1100円(税込) 

発行:KAMIMIC Inc.

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