UKダブの総帥エイドリアン・シャーウッドが伝説的レゲエシンガー、ホレス・アンディと、自身のレーベル〈ON-U Sound〉の出発点とも言える伝説的バンド、クリエイション・レベルを引き連れて、いよいよ来月DUB SESSION 2024が開催する。イベント開催を来月に控え、エイドリアン・シャーウッドの各年代のハイライト音源をまとめたデジタルEPシリーズ第一弾『Five Decades of Destruction - 80’s』が公開となった。
各曲解説
Creation Rebel「Starship Africa Section 1」
〈On-U Sound〉の前身〈4D Rhythm〉からの唯一の作品にして、エイドリアン・シャーウッド初のプロデュース作『Starship Africa』。1980年リリースで、その冒頭を飾る一曲。演奏はエイドリアン・オーガナイズによる在英アーティストを中心としたクリエイション・レベル。音が飛び回るサイケデリック・ダブの金字塔であり、クールかつソリッドな音像は、その後のUKダブのファンデーション。
New Age Steppers「Fade Away」
シングル(1980年)、本曲収録のファーストLP(1981)とともに〈On-U Sound〉のスタートを告げるカタログ1番。リー・ペリーも惚れ込んだジャマイカのシンガー、ジュニア・バイルズによる、拝金主義を痛烈に批判した曲を、ザ・スリッツのアリ・アップのヴォーカルでダビーにカヴァー。バックはスティ-ヴ・ベレスフォードやザ・ポップ・グループなどのポスト・パンク勢と、UKレゲエ勢の混成チーム。
Singers And Players「Bedward and the Flying Preacher」
初期〈On-U Sound〉における比較的ルーツ色の強い名義で、名前の通り、エイドリアンがオーガナイズするさまざまなシンガーや演奏者が行き交う、レーベルのハウス・バンド的なプロジェクト。1983年の3枚目『Staggering Heights』より。硬質なルーツ・ダブ・トラックに、〈On-U〉前身からエイドリアンと活動していた、ジャマイカ人ディージェイ、プリンス・ファー・ライのダミ声が響き渡る。
Lee Perry and Dub Syndicate「Train to Doomsville」
インダストリアル・ミュージックへと傾倒していた1980年代後半のエイドリアンに、レゲエ回帰を促したと言われているリー・ペリーとの初のコラボとなる1987年作『Time Boom X De Devil Dead』。恐らく当時のセッション時の曲でレーベル・コンピ『Pay It All Back Vol.2』に収録。ジャマイカのトップ・ドラマー、スタイル・スコットのダブ・シンジケートがバックを務める。
African Head Charge「Stebeni's Theme」
ジャマイカ出身のパーカッショニスト、ボンジョアイを中心にしたプロジェクト。地下のスタジオにこもって繰り広げられたセッション音源を、幾重にも録り重ねて作りあげた1981年のファースト『My Life In A Hole In The Ground』(タイトルはイーノ&バーンの『My Life In The Bush Of Ghosts』のもじり)に収録の、サイケデリックなパーカッション・ダブ。
ADRIAN SHERWOOD PRESENTS "DUB SESSIONS 2024"
HORACE ANDY [live mix by Adrian Sherwood]
CREATION REBEL [live DUB mix by Adrian Sherwood]
Crucial Tony (G)、Charlie Eskimo Fox (Ds)、Ranking Magoo (Perc)、Kenton "Fish" Brown (B)、Cyrus Richards (Keys)
Horns:icchie (Tp), Hashimoto “Kids” Takehide (Sax), Umeken (Tb)
ADRIAN SHERWOOD [DJ Set]
OPENING DJ: MASAmida from audio active [ON-U Set]
OSAKA - 09.12(THU) Umeda CLUB QUATTRO
NAGOYA - 09.13(FRI) ReNY limited
TOKYO - 09.14(SAT) O-EAST
OPEN/START 18:00 前売:8,500円(税込 / 別途1ドリンク代 / オールスタンディング) ※未就学児童入場不可
Adrian Sherwood
刺激的なダブミックスを武器にそのレフトフィールドなサウンドで、音楽シーンに多大な影響を及ぼして来たUKダブ界の総帥、エイドリアン・シャーウッド。1980年に自身のレーベル〈ON-U SOUND〉を設立、ルーツ・レゲエにはじまるUKのダブ・サウンドの牙城として、40年以上にわたってそのスピリットを曲げることなく運営を続けている。UKにてジャマイカと在英のアーティストによるレゲエ・コネクションを構築していたエイドリアンは、その後、ザ・スリッツやザ・ポップ・グループ周辺人脈なども巻き込み、ポストパンクのダブ・サイドを象徴するプロジェクト、ニュー・エイジ・ステッパーズをオーガナイズ、以来さまざまなアーティスト/プロジェクト/バンドとともに膨大な量のリリースを行ってきた。近年ではリー・スクラッチ・ペリー、ホレス・アンディをプロデュースするなど、エイドリアンは今もさまざまなジャンルを巻き込み、ダブのフィールドを拡張し続けている。
Horace Andy
70年代、80年代に〈Studio One〉や〈Wackies〉などのレーベルで制作した「Skylarking」、「Money Money」他、数々の名作によって、世界中のレゲエファンから愛される存在となった伝説的シンガー、ホレス・アンディ。90年代以降はマッシヴ・アタックの作品に参加したことでレゲエ以外のシーンに衝撃を与え、彼らの全てのスタジオ・アルバムに参加、更に常に彼らのツアーを支える主要メンバーとして活躍しており、より幅広い音楽ファンを虜にし続けている。そんな彼が、エイドリアン・シャーウッドのプロデューサーのもと〈On-U Sound〉よりリリースしたアルバム『Midnight Rocker』(2022年)は、後にリリースされたDUBアルバム『Midnight Scorchers』(2023年)と併せて、ここ最近のレゲエ作品としては突出した高評価の喝采を浴びた。バックを支えるバンドには〈On-U Sound〉を代表する精鋭ミュージシャンが集結し、ホレス自身の古典曲の新ヴァージョン、マッシヴ・アタックの楽曲カヴァー、そしてオリジナルの新曲を収録している。
Creation Rebel
Comments